THE INDEPENDENTS CLUB 2016年10月号に対談が掲載されました。

Posted by on 10月 14, 2016 in メディア掲載

THE INDEPENDENTS CLUB 2016年10月号に対談が掲載されました。

「妊婦のための遠隔診療プラットフォーム事業戦略」

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■ 遠隔診療プラットフォーム「Melody i (メロディーアイ)」
小原:産婦人科病院が急激に減少する一方で高齢出産が増加しています。妊婦の遠隔診療システムは社会的意義が非常に高いと思いますが、具体的に事業モデルをどのように構築していくのですか。
尾形:この10年で約20%にあたる600産科施設が全国で減っています。岩手県遠野市では2004年に産科医がいなくなり、釜石市などの中核病院まで1時間半程かけて14回に及ぶ妊婦検診を受けに通院する必要がありました。一方、35歳以上の高齢出産割合は30%に上り、出産リスクも高まっています。周産期の死亡率を減らすためには継続的モニタリングが必要です。そのために当社では、妊婦が自宅で使える小型の胎児心拍計(医療機器)を開発し、電子母子健康手帳(パーソナルヘルスレコード)を組み合わせ、当社独自の「Melody i(メロディーアイ)」遠隔診療プラットフォームシステムを普及させていきます。

■ 海外での遠隔システム普及を目指して事業スピンアウト
小原:尾形社長は2015年まで産婦人科向け電子カルテ等を開発する㈱ミトラの代表取締役でした。「Japan Venture Awards 2009」中小企業長官表彰を受け経営手腕は高く評価されています。今回の新会社設立経緯と事業理念を教えてください。
尾形:私自身は京都出身で、京都大学大学院の原子核物理学修士課程を専攻後、結婚を機に香川のIT関連企業に勤めていました。「四国4県電子カルテネットワーク(経産省⇒厚労省)」参画時に香川大学原教授と出会い、医療診断システムに興味を持ち、2002年に周産期産科電子カルテ開発販売を目的に㈱ミトラを起業しました。香川県K-MIX(かがわ遠隔医療ネットワーク)事業や、岩手県周産期医療情報ネットワーク「いーはとーぶ」事業(厚生労働省)参画を通じて、遠隔医療事業をスピンアウトする形で当社を起業しました。アフリカやインドなどでは専門医の不足によって母子死亡率が非常に高いことが問題になっています。海外普及に向けて、現在はタイでの遠隔診断システム導入をJICA等とタイアップしています。

■ 医療機関とのタイアップするパーソナルヘルスのビジネスモデル
小原:ベンチャー企業の経営は、事業モデル構築、収益性、資金調達、人材確保、経営チーム組成がポイントになります。貴社の事業モデルは、医療機関向けシステム販売(B2B)と、妊婦からの月額利用料を医療機関を通じて徴収する(B2B2C)ビジネスモデルです。普及には医療機関の導入メリットが最大のポイントになります。
尾形:現在の分娩監視装置(胎児心拍計)は高額な医療機器か1万円以下の心音が聞けるだけの製品しかなく、当社の医療機器としてのシステムは約半額程度と、国内医療機関向けに十分な市場があります。妊婦向けの月額利用料2万円は医療機関とレベニューシェアしていきます。何よりも24時間対応が必要な産婦人科医の負荷を減らし、データ活用によって妊婦の安全性を確保できる点が普及の最大ポイントになると考えています。

■ 新型の胎児監視装置を普及させるために必要な資金調達
小原:設立資金は、尾形社長を中心に香川出身の経営メンバーが出資しています。来年は独自開発の胎児監視装置を病院や自治体向け販売を通じて遠隔診断システムを普及させる経営計画ですが、そのためには数億円の資金調達実行が課題です。
尾形:創業期は、香川県の創業補助金820万と地銀からの借り入れ3,500万円を得ました。最近は地銀も開発型ベンチャーに理解を示してくれるようになりました。さらに、日本政策金融公庫の資本性ローン4,000万円を採択頂きました。昨年度は実証機開発、今年度は事業のPOC(Proof Of Concept)を確認する段階に入ります。今後の事業ステップアップには大きな資金が前倒しで必要ですので、シードラウンドからシリーズAのタイミングを計っているところです。
小原:今まで女性社長の上場を4人お手伝いしてきました。尾形社長は年商10億円の事業を立ち上げた経営実績があり、「安心・安全な出産を世界全てのお母さんへ提供する」という高い志があります。開発資金とランニングコストを一気に資金調達してぜひ株式上場を実現してください。本日はありがとうございました。

【対談を終えて】
株式会社AGSコンサルティング 小原靖明
尾形社長のこれまでの経営実績は高く評価されています。今回の対談で、メロディ社の事業展開についてお伺いしてそれを実感しました。「Melody i」の社会性や必要性は疑う余地もありませんが、これを普及させ事業として大きく展開するにあたっては、厚生労働省の認可など、医療にかかわる規制や事業として医師・病院が相手ということで難しさがあると思われます。これらを打破するためには、「緻密な計画」と「大きな資金」が必要となるでしょう。お伺いしたところによれば、社内にしっかりとした「経営チーム」があるとのこと。社長とそのチームで、スピード感をもってこれらの課題を解決し、「Melody i」が普及し、メロディー社が成長することを期待します。

メロディ・インターナショナル株式会社 尾形優子
「ビジネスモデル」と「資金調達」がポイントであるという指摘は、まさにその通りでした。大学発の技術を製品化する際、その2点がネックとなり、ビジネスに発展しない事が多いと思います。私たちの技術シードは日本で40年前に発明され、世界標準となった技術であり、長年医療機器にて実証されています。しかし、産科医不足や高齢出産などリスクの高い妊婦の増加で、新たな技術ニーズが生まれています。この機を逃さぬよう、効果的に資金を投入し、いち早く医療機関にソリューションを提案しなければならないと、改めて実感いたしました。

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