「安心・安全な出産を世界の全てのお母さんへ提供する」という理念を掲げ
グローバルサウス、発展途上国・新興国を中心として海外でも活動の幅を広げています。
日本の周産期医療は世界一優れています。周産期医療の指標を表す数値である妊産婦死亡率、周産期死亡率とも日本は世界一の低さを誇っています。それは高度周産期医療の発達ももちろんですが、母子健康手帳を含めた妊婦健診体制と胎児モニタリング=分娩監視装置(CTG)の普及率がその基礎を支えています。この先進的な周産期医療を世界に広げることがメロディ・インターナショナルのミッションです。
CTG普及率が低く専門医が不足している発展途上国や新興国では、この妊産婦死亡率、周産期死亡率が非常に高く、医療体制の格差がその大きな原因となっています。従来の胎児モニター=分娩監視装置は、据置型で紙によるデータの印刷を前提として設計されており、その結果を診断の出来る専門の産婦人科医師と、妊婦さんがその機器の導入された医療施設で一緒にいないと意味の無い設備でした。私たちは、これをモバイル型、IOT型にイノーベーションして、妊婦さんがどこにいても医療機器を届ける事ができて、医師が離れていてもインターネットを通じてリアルタイムに遠隔で胎児の健康状態を確認出来るシステムを開発しました。周産期遠隔医療プラットフォーム”Melody i”と遠隔医療対応のFetal Monitor iCTGです。ICTの力で、医療資源の格差を解消することが可能となりました。
メロディ・インターナショナルは、このモバイル型、IOT型分娩監視装置=Fetal Monitor iCTGを世界中の全ての妊婦さんがリーチできるようにすることで、
「世界中のお母さんが安心・安全な出産を」どの国のどんな地域に住んでいても、等しく享受できる世界を実現しようとしています。
そのための、さらなるサービス開発、機器の改良、そして普及を進めています。
また、メロディ・インターナショナルは、SDGs(「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標)3.1&3.2に共感し世界での実現を目指しています。
チェンマイ(タイ)での事例
JICA草の根技術協力事業
タイにおける妊産婦管理及び糖尿病のためのICT遠隔医療支援プロジェクト(3年間)
妊産婦・新生児死亡の予防を目的とした救急時の移動式胎児心拍計導入と産科一次スクリーニング診断導入と一次医療人材育成による周産期死亡改善事業(3年間)
香川大学では、学術における国際交流が活発に行われています。そのうちの一つタイのチェンマイ大学とは設立当初から、香川県、香川大学、e-HCIKとともに協力関係を築き、JICA草の根事業を進めて参りました。この関係性は、私たちの製品開発の大きな原動力ともなっています。STEP2ではチェンマイ県の保健省も加わり、妊産婦の健康管理プログラムをチェンマイ地域全体に拡張しました。2017年、チェンマイ大学産婦人科のスパトラ先生は、本プロジェクトを推進したとして、タイ首相府、首相直属の行政公務員委員会事務局より「Best Public Service Award 2017」を受賞しました。現在、拡張したJICA草の根プロジェクトとして、チェンマイ県すべての公共病院と一部のヘルスセンターに、遠隔妊婦健診システムが行き渡るようになりました。助産師が適切な計測を実施し、必要なデータを必要なタイミングで医師と共有するための集合教育も実施しました。また、スムーズな情報共有のためにSNS(LINE)を使ったCTG情報共有システムも導入いたしました。
現在は、北隣になるチェンライ県での同じ様なリファラル体制の構築を目指して活動を続けています。
南アフリカでの事例
飛び出せJAPAN
南アフリカにおける妊産婦遠隔医療プラットフォームの開発
南アフリカは、BRICSの一角としてめまぐるしい発展を遂げていますが、広大な国土から都市部と農村部の開発格差、医療格差が大きくなっています。私たちは「飛び出せJapan!(経済産業省)」のプロジェクトにて、南アフリカの母子死亡率低減のための調査事業と実証事業を行いました。トータル2,000kmの行程で12の公立病院、私立病院をまわり、遠隔胎児モニタリングのテストを実施しました。十分な人員も満足な設備もないルーラルエリアの1次医療施設と、少ない産科医で年間1万以上の出産を扱う大病院が、その数百キロの距離と情報共有の不足により、上手く連携出来ておらず、母子の死亡率を押し上げている現状がありました。
私どものシステムは、南アフリカのみならず、アフリカ大陸全土で高い需要があることも確認できました。
ブータン王国での事例
すべての妊婦に質の高い婦人科・産科サービスを提供する
UNDP(国連開発計画)及びJICA(国際協力機構)による全国土への導入
2020年10月にUNDPとJICAのイニシアチブにより、ブータン全土に55台のiCTGが導入されました。これにより、山岳地帯のBHU(ベーシックヘルスユニット)やプライマリー施設で、高いレベルの妊婦健診が受診でき、リスクを伴う妊婦を早めに高次病院へ搬送する仕組みが整いました。
現在、JICAによる「遠隔医療の体制構築を通じた母子保健強化プロジェクト」が3年間にわたり開始され、追加で27台の導入がなされ、より山間部の妊婦にサービスが届く体制を構築しています。今後、香川大学やチェンマイ保健局の医療従事者も、現地でのスムーズな運用や診断レベルの向上に向けて、教育プログラムを実施していくことで、導入された機器やシステムがサステイナブルに有効活用され、母子保健の向上により貢献できる様な関わりをしていく予定です。
フィリピンでの事例
経済産業省 令和4年度ヘルスケア産業国際展開推進事業
フィリピン共和国におけるIoT型胎児モニターとICT技術を活用した周産期遠隔医療システム実証調査プロジェクト
株式会社リバネスと共に「フィリピン共和国におけるIoT型胎児モニターとICT技術を活用した周産期遠隔医療システム実証調査プロジェクト」を実施しました。
2022年7月より開始された本プロジェクトは、フィリピンにおける医療機器認証(CMDN)を8月に取得し、現地の周産期医療の調査、対象3施設でトライアルの実施・検証、学会出展・現地の産婦人科医などを対象とした教育研修を行いました。