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お知らせ

国際遠隔CTGセミナーを開催しました


タイと日本の51拠点を繋いで、国際ウェビナーを実施しました。

https://youtu.be/yoE06RAr2KM
メロディチャンネルから全て視聴可能です。

CTGモニターがモバイル化、オンライン診断可能となったことで、グラフの判読をする医療従事者の裾野が広がってきました。
今回、埼玉医科大学総合医療センター客員教授の馬場一憲先生と、香川大学瀬戸内圏研究センター特任教授の原量宏先生を迎えて
「胎児モニタリングの原理とその歴史(原)」
「胎児心拍の見方(馬場)」
と題して、タイ、チャンマイの医療従事者を中心に、国際ウェビナーを実施しました。
ベテラン医師は「基本の復習になった」「歴史を知らなかった」、若手の助産師は「とても勉強になった」との反響を頂きました。
今後も、要望に応じて、タイやブータン、カンボジアなどを繋いで、初級編~応用編まで開催していきたいと思います。

・JICA 草の根技術協力事業遠隔医療支援プロジェクト
主催:遠隔医療実行委員会、共催:香川大学瀬戸内圏研究センター、香川大学インターナショナルオフィス
協力:NPO法人e-HCIK、メロディ・インターナショナル株式会社(香川大学発ベンチャー)


▶記録は香川大学YouTubeチャンネルにも公開されました。

https://youtu.be/MvWz8nR9wKE
以下、香川大学YouTubeチャンネルより

「遠隔医療WEBINAR (1):JICA 草の根技術協力事業遠隔医療支援プロジェクト」
香川大学瀬戸内圏研究センター(原 量宏特任教授)と香川大学インターナショナルオフィス(徳田雅明副学長)らは、香川大学発ベンチャーであるメロディ・インターナショナル株式会社、NPO法人e-HCIK(イーシーク)と共同して、日本および世界において、産科医が居ない多くの地域で妊娠出産する妊婦に、超小型軽量化したモバイル胎児モニター(iCTG)を用い、安心・安全な妊婦管理を可能にする産学官連携プロジェクトを展開しています。
 
世界には開発途上国などで産科医や助産師が居る施設で安心・安全に出産ができる環境が得られない地域が非常に多く不平等が生じています。また日本を含む先進諸国でも産科医の減少や都市部への偏在により同様の地域が増えています。そうした地域では妊婦は大きな不安と負担を抱えて妊娠を継続しなければなりません。さらに今回の新型コロナウィルス感染症のような状況下では検診に行きたくても憚られるような状況も起こっています。このような状況を解決するのが、香川大学医学部が開発した超小型軽量化したモバイル胎児モニター(iCTG)です。
 
産科医が居なくても、iCTGを妊婦が居る所に助産師等が持参して、妊婦の腹部に装着すれば、胎児の心拍や子宮収縮の状態を、モバイル回線やWiFiでインターネットに接続することにより、遠く離れた場所に居る産科医に転送することができるので、妊娠の状況をオンライン環境で把握でき適切な指導や処置が可能となります。この活用により産科医不足で生じる妊婦の危険を回避することができます。例えば岩手県遠野市では2004年に産科医がいなくなり、妊婦は定期健診のたびに山道を車で1時間半運転し釜石市の病院に通っていました。2006年にiCTGを用いる取り組みを遠野市の助産院に導入し、助産院で計測して必要に応じて釜石市の病院で診察を行うことで、現在までに2000出産をサポートしています。この例のように本取り組みは、<いつでも、どこでも、だれでも>容易に妊娠状態を計測できると共に、産科医側でもすぐに対応が必要なケースと経過観察で十分なケースを選り分けて対応できるようになるので、妊婦のみならず産科医の負担を軽減することができます。この例のように日本各地、世界各国で展開して行けば良いのです。
 
既に香川県での活用を医師会や香川県等との共同事業で推進し、それが岩手(遠野)や鹿児島等にも拡大できており、現在5地域での活用を行っています。また、プロジェクトチームは世界での問題解決を目指しています。国際展開としては、2014年にチェンマイ地域(タイ国)での事業から始まりました。現在では南アフリカ、ブータン、ミャンマーなど、開発途上国を中心として6カ国での展開を行っています。
 
タイのチェンマイ大学は香川大学の海外交流拠点校です。香川大学では、香川県、メロディインターナショナル株式会社、e-HCIKとともにプロジェクトチームを結成し、2014年から2017年に、JICA草の根技術協力事業「タイにおける妊婦管理及び糖尿病のためのICT遠隔医療支援プロジェクト」を進めてきました。チェンマイ大学医学部附属病院産婦人科(スパトラ医師ら)のチームと共同して、iCTGを導入し過疎地域にある4つの病院を結んでの導入事業を展開し成功裡に終わりました。その成果は、タイ首相府の首相直属の行政公務員委員会事務局より認められ、スパトラ医師は「Best Public Service Award 2017」を受賞しました。2018年からは、第1期の事業をチェンマイ県全体に拡大する取り組みとして、JICA草の根技術協力事業「移動式胎児心拍計導入による周産期死亡改善事業」を3年間にわたり展開することになりました。このプロジェクトでは、チェンマイ大学に加えてチェンマイ地域保健省も加わり、iCTGを用いた遠隔妊婦健診システムを活用した妊産婦の健康管理プログラムをチェンマイ地域全体の公共病院に展開し、新生児死亡数と妊婦の死亡数を下げる取り組みとなっています。
 
本プロジェクトは、SDGs3.1(妊産婦死亡率低減)、SDGs3.2(新生児死亡率低減)を中心として、SDGs5.b(女性の能力強化にICT技術の活用)、SDGs17.7(開発途上国への技術移転)に貢献するプロジェクトとして取り組んでいます。
 
この第1回遠隔医療WEBINARでは、原量宏香川大学瀬戸内圏研究センターから「胎児モニターの原理と開発の歴史」について、埼玉医科大学総合周産期母子医療センター母子・胎児部門の客員教授である馬場一憲先生から「胎児心拍数の見方」についての講義を提供しました。今回のWEBINARは、約60名が参加しましたが、JICAプロジェクトで展開しているチェンマイ地域の病院の医師や看護師が多く参加するとともに、香川大学の医師や看護師、学生が参加しました。そのため、日本語とタイ語での開催になりました。
 
本WEBINARは、英語はもちろんのこと、他の国の言語での開催も検討します。また、さまざまなコンテンツの提供も考えています。